劇作家相馬杜宇のOfficialBLOG

脳出血発症中!劇作家+相馬杜宇+片麻痺

世界で一番やさしい!リハビリ歩き方講座

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相馬杜宇は仕事を求めています!
エッセイ、体験レポート、何でもやります!
お仕事の依頼はコチラまで!→aiba-moritaka@hotmail.co.jp

歩き方に始まり、歩き方に終わる
独断と偏見で、「私」の歩き方を徹底解説!

 

「歩き方の記事、書いてよ」

全てはこの一言から始まりました。
カリスマ理学療法士がブログについての記事が結構お気に召したようで、「ぜひ歩く記事を!」とご所望いただいたようです。

でも……。

今では割とハッキリしていますが、カリスマの歩く説明では「○○筋を○○○骨を立てて…」と何のことやらチンプンカンプンでした。
さすがにハードル高すぎるだろう…と思っていました。
Iカリスマ理学療法士を召喚して、ICレコーダー録音して…と考えましたが、タイピング動かせるのが右だけ。文字起こしするだけで日が暮れてしまいます。


「それではマドンナの名が廃るぞ」


もう一人のカリスマ理学療法士が囁きます。

困る!!

そこで、決めました。
全く小難しい専門用語を使わずに、極めて易しく歩くコツをレポートしようと。
ほら、井上ひさしさんが仰ってるじゃないですか、「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く、面白いことを真面目に、真面目なことを愉快に、そして愉快なことはあくまで愉快に」って!

 

…… もちろん勝算はありません。


でも、全てはマドンナ理学療法士の笑顔取り戻すために!

jetb.co.jp


劇作家相馬、頑張ってレポートしてみたいと思います。

ランクについて


独断と偏見でレポートしようとしたら、いきなり躓きました。
患者さんの症状は千差万別。ちょっと書こうとすると「いやいやそうじゃないよ」と言われてしまいそうです。
そこで、私に合わせることに決めました。
・32歳脳出血 
・左の片麻痺。持病である感覚障害と過緊張が出る
・最近はダイエット中で、見る見るうちに痩せた(カリスマに「まだお肉出てるね」と言われた)
まだ左足が育ちつつあり、装具なしでも歩いている。
まさに「あと一歩」という、生まれたての小鹿な状態です。


ステップ① 立つ

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靴を肩幅に揃えて置きます。「揃えて置く」というのは文字通り並べて、真っ直ぐ、どこにも交わらず、気をつけの位置で、平行です。

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がに股みたいにバラバラな位置だとエラーを起こします。
「肩幅に揃えて」と言ったのは踏ん張りを察知するためです。
「はい歩いて」と踏み出した際に、どこに手がかりを求めて歩いたら良いのか不明だったので、立っています。
腰左、右、前、後ろと、腰を揺すって「どこにも移動出来るぞ」と確認しましょう。フラフープのイメージです。
色気出し過ぎて、フラダンスのようにクネクネ腰を回すのではありません。「色気出すと絶対に良くならない」ことを肝に銘じましょう。
スッと立ち上がるのではなく、踏み台を支えにして、安全に立ち上がります。
その際、バランス調整のために、理学療法士さんがバランスの位置を調整します。
「うわ、倒れる!」と思った方、大正解。だって麻痺がありますから、恐れることはありません。
大地を踏みしめるように、しっかりバランスのズレを楽しみましょう。
あ、ちなみにバランスとは「真っ直ぐ立つ」ということです。信じられないかもしれませんが、これが「真ん中」です。
立ち上がったら、即左足に過重しましょう。クロヌスが起きたら、左足に体重をかけるとたいがい止まります。
「背筋伸ばして」「腰曲げて」「はい、背伸び」とたいがい言われるので、大人しく先生の指示に従いましょう。猫背のようなオッサンの哀愁のようではいけません。
我が師と崇める多田宏先生を見習います。

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御年87歳、合気道九段です。
カリスマ理学療法士「ホントにポンポンポンポン投げられるから」と言われ、YouTube見たのですが、多田さんが投げられ続けてる中、素晴らしい美声で「多田宏。早稲田大学卒業…」と淡々とプロフィールが流れ続けたのです。


「シュール」と思いました。

 


ステップ② 歩く

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スタンバイ出来たら(理学療法士さんがGOサイン出たら)、歩きだしましょう。私はいつも左でしたが、どちらでも良いと言われています。
腰を前に突きだす感じで、最初の一歩を踏み出します。
カリスマは「立ちションする感じで」と言っていました。
トイレの小便器をイメージしながら前に突きだしています。
何かエロいですね。まあいいや。
踏み出すのは至極控え目で、「控えめ!」と念じると「それでいい、いっそ、それでいい」と言われます。
欲張って踏み込みすぎると、「やっぱ麻痺があるから」と言われ、控えめを心掛けましょう。THE質素倹約!

 


ステップ④歩きだす


軸足に着地したら、踏みしめることを確かめます。前後ではなく、「左右」です。体幹を意識して、横にスライドするイメージを持ちましょう
言葉にするのは難しいのですが、やじろべえ、起き上がり小坊師のイメージです。

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その際、背骨、お尻、内くるぶしを体感することが重要です。
…正直に告白すると、どこをどう体感したら良いのか分からないのですが、「背骨、お尻、内くるぶし」と強く念じると、カリスマが「そうそうそう」と言ってくれるので、安心です。
テキトーにやるのではなく、強く念じることが大切です。
漫然と歩くと、ガクガク震えがきてしまうので、左斜め方向を意識します。

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かかとを加重するとたいがい止まります。
「腰を伸ばす」ことを意識します。
口が悪くて言葉が悪い病棟科長には「おーい、へっぴり腰になっとるぞ」と言われ、悩

んだ時期もありましたが、トップバレリーナのように胸を張って、腰を伸ばします。

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あくまで視線は斜め上です

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ステップ⑤着地する


着地はタイミングが肝心です。力み過ぎると膝が突っ張ってしまい、元の木阿弥みたいになります。

「はい、リラックス(byカリスマ理学療法士)」
「足首やわらか~く(byカリスマ理学療法士)」

あくまで超リラックスです。クロヌスが出ると止まるので、慌てることはありません装具つけていますから、頼っても折れないので心配要りません。
上手くやるコツは極めて消極的に歩くこと。「サボろう」という意識が大切です。
踏み込んだら「ココ、超サボれる」というポイントを見つけます。見つけたら、そろりと足を合わせます。踏み込むと通り過ぎてしまうので、あくまで軸足(=右足)は合わせることがポイントです。
そうすると、震えもせずに無事着地することが出来ます。

 

ステップ⑥歩きだす


着地が成功したら、少し足首を浮かせます。
するとどうでしょう、自然と足が出てくれます。やはり装具の力は偉大です。
その際、極めて控えめに踏み出すことが肝要です。あまり踏み込みすぎると「この辺感覚が…」と言われてしまうので、手の届く範囲で踏み込みましょう。いわば「欲張ってませんよ~」というポーズです。
ちなみに何らかのエラーでクロヌスが出るようであれば、屈伸すると止まります。
「ちゃんと屈伸してますよ」と格好のアピール材料になります。

 

ステップ⑦体幹とは

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最近体幹体幹とよく耳にするようになりました。
「長嶋(茂雄)さんは体幹使って歩いている」となんだか鉄人のような領域です。(実は長嶋さんは七沢に入院したことがありました)
でもそもそも体幹って何なの?と思います。そこで少し調べてみました。

 

体幹の定義


体幹」と検索すると、雨あられのように沢山の解説サイトがヒットします。

読んで字のごとく「体の幹」ですから、胴体部分ですね。体幹とは、人間の身体の頭部と四肢(左右の手足)を除いた部分を指すのが一般的です。身体のコア(中心)となる部分です。

お腹周りをイメージされるかもしれませんが、腹筋だけを指すのではありません。背中や腰周りも含めた胴体の中心部全体と考えていただければよいと思います。

 http://www.natural-diet.jp/taikantraining/t

 

何やらモヤモヤしてしまいます。


「身体の幹と言うくらいだからお腹回りかぁ…」と思っていたのですが、「腹筋だけを指すわけではありません」と釘を刺され、いきなり出鼻を挫かれました。

どうやら体幹はひじょーに広義の意味のようです。
ちなみにこちらのサイトは明快でした。

体幹には2つの意味があります。広い方の意味では胴体のことを、狭い方では胴体の深層部の4つの筋肉、つまり横隔膜(おうかくまく)、腹横筋(ふくおうきん)、多裂筋(たれつきん)、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)を指します。

stretchpole-blog.com

stretchpole-blog.com


腹横筋(ふくおうきん)、多裂筋(たれつきん)、骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)が若干気になりますが、要は胴体のことですね!


体幹強いと言うことは、ちょっときつめに言っても、ガチ凹みしてしまうのだと学びました。

 

ステップ⑧着陸


歩くことは万物の基本です。カリスマ理学療法士曰く、「装具履いても履かなくても基本一緒」と言ってます。
必要最小限度で無理なく歩き続けるー。
無意識でしたが、結構集中力使います。
周囲のポジショニングはどうか(=空間把握)、

周りの患者さんに迷惑がかかっていないか(=周囲認識)、ベッドに激突していないか(=空間察知)、

ゴールは適正か(=目的物予測)など、ありとあらゆることが気を配らなければなりません。
もちろん一朝一夕に出来ることではありませんが、一つ一つ慣れていくしかないと思います。

あ、一つだけ!
最初の一歩はとても重要です。装具さえ上手くいけば、無事車椅子まで着陸できることになり、「ちゃんとゴール出来たね」と祝福を受けられます。終わり良ければ全て良しです。

反対に、あらぬ方向にぶつかってしまうと「何も考えず歩いていた」ことになり、無計画の謗りを被ることになります。


最初の一歩、意識してみてくださいね。一手、二手、三手が肝心です。

 

今回は独断と偏見で歩き方講座についてお伝えしました。如何でしたでしょうか?
最近スランプだと感じる患者さんに多少参考にしていただけますと幸いです。