劇作家相馬杜宇のOfficialBLOG

32歳、脳出血発症中!劇作家の相馬杜宇がホッピー、コンテンツSEO、病院の不可解さについて語るブログです。

高校演劇!「高校演劇ココが惜しい!」ポイント10選

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高校演劇ファン必須!
高校演劇をもっと面白く、もっと楽しく!
高校演劇の審査のポイントを徹底解説!

 

もう6年以上でしょうか?
おかげさまで、東京、山梨、神奈川などで地区大会の審査員を務めています。
「こんな切り口があったのか!」と気づかされる場面も多く、たくさん刺激をもらっています。   
一方でよく中学演劇のコンクールで講評しようとすると、「あなたの頑張りは本当に素晴らしい」と超ソフトな講評をされがちです。まさに中学演劇、多感なお年頃ですから、決して傷つけまい、腫れ物に触るまいと言わんばかりです。でもそんな台本って、どこか教科書的で、往々にしてプロの劇作家が酷評したりする出来栄えだったりします。
印象批評ではなく、もっと分析的に演劇のことを批評しても良いのにと思います。一方で何べんも言っても、改善が見られないケースも目につきます。
そこで高校演劇の惜しいと思うポイントについて解説してみました。

(1)「どう言うか」ばかりで「どうして言うか」が抜け落ちている。(演技) 

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失敗談として「悲しい気持ち」「嬉しい気持ち」を創り出そうと、声色を真似たり、テンションを奮い立たせようとしました。そういう時はたまたま上手くいくこともありましたが、テストの採点が奮わないと、浮き沈みが激しいもの。
でも優れた戯曲だと「ありがとう」という何気ない台詞でも、登場人物の深い葛藤が 垣間見える瞬間があります。「ありがとう」は純粋に感謝の気持ちを表現しているわけではないのです。感謝、お礼、お詫びなど、一言では言い表し難いメッセージが詰まっています。そして優れた俳優は「どう言うか」はあまり考えて役作りはしていないことが多々あります。


では何か?


もう答えを言ってしまっていますね。
そう、「どうして」です。
役の状況や感情はどうして台詞にするかを常に考えて俳優は演じています。
だから、「どう言うか」はあまり関係ないのです。
最近は声優を志望される方がたまに見掛けます。そういった声優志望者には、全て感情や状況を表現しようと、必死です。
最たるものは「……。」の台詞。
単に沈黙を意味するのですが、声優系劇団の方は「……。」を何とか音声化しようとします。「言葉に詰まっているぞ」とアピールしようとするのです。
マジで演劇論を闘わせようとすると取っ組み合いの喧嘩になるので、コメントは控えますが(笑)、「どう言うか」の演技スタイルが多い好例だと思います。

(2)台詞=気持ちになっている(台本+演技)


戯曲には大きく分けて2種類あります。
一つはシェイクスピアの戯曲。1から10まで台詞は本心だと見なす戯曲です。
もう一つは会話劇。他人同士は普段本音で話していません。お世辞を言ったり、おべんちゃらを言ったり様々な温度差があります。社会に暮らしている以上は適切な会話を語っていない。ルールもあるし、常識も影響しています。だから、状況に照らし合わせて相応しい振る舞いから脱け出せずにいる。
世知辛いですねえ…。


でもそれが会話劇なのです。
台詞の役者さんでは本当の気持ちを真正面に語ります。
清々しいと同時に、「この台詞はもっと皮肉めいて聞こえるのになぁ…」と思う場面が結構あります。
この台詞はこう書かれているけど、ホントのところはどうなんだろう?」と目を向けられると、一つ上の部員になれると思います。


(3)なぜ今出会う(起こる)のか必然がない(台本)


胸が痛いケースです。
正直に告白すると、大半の作品では全て当てはまってしまいます。
あくまで原則論で話を進めさせていただきますが、「たまたま」、「偶然にして」「運良く」「運命の人に巡り会った」というケースです。
「やあやあ奇遇だね~」とばったり出会ってしまうパターン。


「もう少し何かあるでしょ?」と思います。
都合が良すぎる!
せめてこれくらいは用意して欲しいです。
・ようやく内定が決まり、友人と話をしている。でも友人はなぜかからかわれている。
「ヤバい時間だ!」と思って、かけ出す友人たち。

・ちょうどその時、別の友人が足の悪いお年寄りを介抱してあげている。ホントはかなり早めに出掛けたはずなのに、世間話に付き合わされて止められない。ちょうど電車が来た!「おばあちゃんごめんね!また今度ゆっくり!」と慌てて乗り込む友人たち

・持っていたものが散らかり、それがブラジャーで、内定が決まった仕事は零細の下着会社だったのだ!

…これくらいなら、伏線も張れるし、多少説得力が生まれると思います。

前置きが長くなりましたが、高校演劇では用意周到に出会って欲しいと願うばかりです。

(4)エピソードが点だけで全体を通した線になっていない(台本)

 

エピソードは点です。
突然魔女が現れたと思ったら、驚いてしまいます。
一本の線として、伏線を張ることが大切です。
どれを伏線を張るかの指標は、「これが無くちゃ劇が成立しない!」と思うもの全てです。
突然魔女パターンで考えると、以下のパターンが想定できます。
・友人Hが血相を変えて帰ってくる。魔女を目撃したという。
・しかし友人Hは嘘ばかりついているので、信じようとしない。
・友人Hの必死の説得に次第に理解を示す住人たち。
・しかし自治会長さんは「どうせ嘘でしょ」と言って取り合おうとしない
・友人H「いやいや本当なんですよ、信じてくださいよ!」と自治会長に詰め寄ると、「触んじゃねえ!」と絶叫。自治会長は執拗に左手をさすっている


「もしや魔女なんじゃ…?」と予感させる伏線になると思います。

 

(5)現実ではあまり無い設定(幽霊、魔法、死神等)が「もし本当にあったら?」の突き詰めが甘い(台本・演技・演出)


「実は魔女なんです」
「ああ、左様ですか。では住民票のお手続きをお願いします」

 

あり得ないですよね?


魔女なら普通はビックリする、信じようとしないしないパターンが考えられるはずなのに。何だか肩透かしを食らってしまいます。
そのためには「もしホントに魔女だったら?」「魔女ってどんな仕事をするの?」のディテールをトコトン突き詰めることが大切です。
一方で「簡単に信じるのかよ!」という逆手に取ったツッコミもアリです。でも多くの場合は「まあいいや」と言って、ズルズルルーズに話を進めてしまうのがありがちなパターンです。
気を抜いてはいけません。
「なぜ安易に信じてしまったか」理由が重要です。
少し意地悪な見方をすれば、淡々と住民票の手続きをしようとした彼は、もしかしたら精神を患って、絶賛リハビリ中かもしれません。
幽霊でも魔女でも信じます。信じさせてください。
フィクションではなく、「もし本当にあったら」の突き詰めがとてもとても重要です。「これって実際どうなの?」とトコトン話し合いましょう。対話を通じた他者との協働作業が真のコミュニケーションです!

 

(6)「いい人」だから解決しがち。(台本)


大切な仲間を裏切ってしまったー
大切な仲間から2億円ちょろまかしてしまったー
よし、反省しているようだから、許してあげよう!


「そんな馬鹿な」ですよね?
2億円ちょろまかすって、反省する程度で許せるはずがないと思います。人が良すぎる。もっと人間のシビアな一面を描いて良いと思います。人は簡単に許せないのですから。  
とても人気のあるシチュエーションコメディがあるのですが、信頼のおける劇作家は「これって所詮男の家族幻想ね」とさらっと言っています。人間のシビアな一面を照射している劇作家すらそうなのです。
劇作家は人の悪意を常に考えて生きている生き物ですから、願いではなく、視点を大切にしたほうが良いんじゃないかなと思います。

 

(7)独白、回想が説明だけに使われてしまっている。(台本・演技)


独白回想の最大のデメリットは何でしょう?
三、二、一、はい、時間切れです。
正解は現在の時間が止まってしまうこと。他の人物が同時進行しているのに、状況説明タイムに使われてしまうことなのです。
もちろん例外もあります。
独白では、あまりにダイナミック過ぎて、気づいたら舞台上の時間が500年くらい経過していたというパターンです。
「あまりにダイナミック過ぎて」ってハードル高すぎですよね笑?
一番ベーシックな方法としては、時間が加速していたり、いつもの回想シーンがまるで変わってきてしまったりする例です。
プロの劇作家はデメリットがわかった上で「独白(回想)ならでは」の仕掛けをするようにしています。
「この回想シーンって要は説明だよね?」と言われないために、「てめえ全然分かってねえよ」と腕を磨いてください。困らせてみてください。
あなたの挑戦待ってます!

 

(8)現実ではあまり馴染みのない設定(魔法、タイムスリップ、幽霊など)により引き起こされた問題を同じく馴染みのない手段(超能力、世紀の大発明など)で解決する。(台本)


「魔法かぁ、困ったな…」
「お客さま、ちょうど新しい薬が開発されました。」


非現実的な設定は1回限りです。
以上!
※原稿が長すぎるからではありません。

 

(9)過去の話ばかりでドラマが動いていない。(台本)

 


昔々、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山に芝刈りに行きました
おばあさんは川に洗濯に行きました。
すると大きな桃が……

 

 

 

 

知ってるわ!!
どうせ桃太郎の話だろうと思いますよね?
つまり、こういうことなんです。
過去の話や状況の説明ばかりに気を取られて、全然事件が起きていない。
起承転結で言うところの、「起」。状況、状態がいつもと違う瞬間が見られないパターンです。「何か様子が怪しいぞ」と確認できていないことが多々あります。
状況説明ではなく、意図的に「事件を起こす!」という意識が大切です。

なお、『演劇と教育』に寄稿した作品「さらに面白い作品にするために」はコチラでご覧いただけます

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(10)同性愛、方言を笑いのネタにしている(その芝居に関わる全ての人)

 

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珍しく真面目な話をします。
世の中には性的マイノリティが一定数存在します。
最近は少なくなってきましたが、バラエティー番組では、笑いのネタだけに走るケースが多々見られます。
もし、当人がいる前で、笑いのネタに走るだけの芝居をしたらどう思うでしょう?
本当に当事者がいる前で、想像したことがありますか?
誤解のないように言うとやるなと言うことではありません。
表現をやる以上、傷つく人は必ずいます。
どんなにふざけたシチュエーションコメディだとしても傷つく人はいるわけですから。インチキ方言も同じです。方言は文化であり、営みに変わりはありません。

 


これ以上とやかく言うつもりはありません。


想像して欲しいと思います。

 

。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

今回は高校演劇が惜しいと思うポイントについてお伝えしました。
審査では「ここが出来てないから○点減点」みたいな審査はしません。総合的に判断しています。
強いて言えば……

 

答えのない問いを残せるかどうかでしょうか?
上手く言葉にならない問いを考えさせる、本質に迫れる作品を提示してくれる作品を選びたいと思っています。


さて、どさくさ紛れに宣伝です。
台本赤ペン先生では実は添削サービスを行っています。
通常はパック料金で結構かかるものですが、高校生以下2500円、一般4000円からと、大変リーズナブルな価格で体験いただけます。
台本添削では一人一人の作品の魅力を見極め、長所を伸ばしながら、より良い可能性を模索する事を心掛けています。

aiba-yamaguchi.hatenablog.com


まずはプロフィールをご覧ください。

坂本鈴(さかもとりん)

熊本県出身。劇作家。演出家。
劇団だるめしあん代表。劇作家女子会リーダー。劇団劇作家所属。東急セミナーBE「劇作ワークショップ」講師。
大学在学中、劇団ダルメシアン立ち上げ(2012年「劇団だるめしあん」に改名)。
戯曲「女2」で、2014 年せんだい短編戯曲賞で最終候補。2015 年、劇作家協会戯曲セミナー研修課に進み、横内謙介氏に師事。
劇団ひまわり、かわせみ座、劇団ポプラなど、児童劇団や人形劇団にも脚本提供し、中学校の脚本コンクールの審査員や高校演劇大会の審査員、劇作ワークショップの講師を務めるなど演劇教育での活動も行っている。


《主な講師歴》
平成21年8月 演劇教育連盟全国大会脚本講座講師アシスタント(22年も)
平成22年8月 神奈川県中学校演劇連盟脚本講座講師(23年、24年も)
平成23年度 埼玉県立芸術総合高校舞台芸術コース講師アシスタント(上演指導)
平成22年9月 劇作ワークショップ講師(主催事業)
平成23年4月 中国地区演劇教育連盟劇作ワークショップ講師アシスタント
平成23年9月 高校演劇コンクール東京地区大会審査員
(~27年まで毎年)
平成24年4月 横浜市泉区民文化センター主催劇作ワークショップ講師
平成24年 横浜市中学校脚本コンクール審査員
平成25年7月 東京都高校演劇連盟脚本講座講師
平成25年8月 演劇教育連盟全国大会脚本講座講師(26年も)
平成25年11月 さがみ風っ子演劇祭講師
平成25年 神奈川県中学校脚本コンクール審査員(26年も)
平成26年 青森県高校演劇連盟主催脚本ワークショップ講師アシスタント
平成27年2月 栃木県高校演劇連盟主催演劇講座(脚本)講師
平成27年9月 山梨県高校演劇連盟主催脚本講座講師
平成27年10月 高校演劇コンクール山梨地区大会審査員


相馬杜宇(あいばもりたか)

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劇作家。演劇ユニットどうかとおもう代表。
大学卒業後、劇団劇作家の旗揚げに参加。5年の在籍の後フリーとして活動。2015年に俳優清水大将と演劇ユニットどうかとおもうを設立。世の中の「どうかと思う」ことを芝居や風刺コントとして発表している。
ウィットに富んだ喜劇を得意とし、劇団、プロデュースユニットなどに脚本を提供している。戯曲『ありか』でテアトロ新人戯曲賞最終候補。『こたつ』でNHK仙台局オーディオドラマコンクール最終候補。他の主な作品に『痩せてたまるか!』、『茶飲み兄弟』などがある。
また近年では学校でのコミュニケーション教育、一 般、中高生を対象とした脚本講座、演劇コンクールの審査員など、その活動の幅を広げている。

また、全国では異例となる東京新聞朝刊にて『それゆけ安全マン!?~レントゲン・チェルノブイリ・フクシマ~』が戯曲全文連載された。

《主な講師歴》
平成21年8月 演劇教育連盟全国大会脚本講座講師アシスタント(22年も)
平成22年8月 神奈川県中学校演劇連盟脚本講座講師(23年、24年も)
平成23年度 埼玉県立芸術総合高校舞台芸術コース講師アシスタント(上演指導)
平成22年9月 劇作ワークショップ講師(主催事業)
平成23年4月 中国地区演劇教育連盟劇作ワークショップ講師アシスタント
平成23年9月 高校演劇コンクール東京地区大会審査員
(~27年まで毎年)
平成24年4月 横浜市泉区民文化センター主催劇作ワークショップ講師
平成24年 横浜市中学校脚本コンクール審査員
平成25年7月 東京都高校演劇連盟脚本講座講師
平成25年8月 演劇教育連盟全国大会脚本講座講師(26年も)
平成25年11月 さがみ風っ子演劇祭講師
平成25年 神奈川県中学校脚本コンクール審査員(26年も)
平成26年 青森県高校演劇連盟主催脚本ワークショップ講師アシスタント
平成27年2月 栃木県高校演劇連盟主催演劇講座(脚本)講師
平成27年9月 山梨県高校演劇連盟主催脚本講座講師
平成27年10月 高校演劇コンクール山梨地区大会審査員


お分かりの通り、経験豊富です。
「8月下旬は審査員ウィーク」の言葉にあるように、脚本講座、高校演劇の審査員積極的に行っています。
坂本鈴さんは劇団劇作家からのお付き合いです。私にしか書けない視点、コメントを言ってくれるため、全幅の信頼を置いています。
もし、添削してみたいと思った方、こちらのサイトからお申し込みいただけます。

http://aiba-moritaka.wixsite.com/daihon-akapen/blank-cyke


また、高校演劇の審査員のご依頼、脚本講座のご依頼は喜んで承ります。

連絡先はコチラ!daihon-akapen@outlook.jp

 

皆さんの作品作りの参考になりましたら嬉しいです。
それでは、またお会いしましょう!