劇作家相馬杜宇のOfficialBLOG

32歳、脳出血発症中!劇作家の相馬杜宇がホッピー、コンテンツSEO、病院の不可解さについて語るブログです。

【高校演劇 新作脚本『引退』】全文戯曲公開します!

 引退

相馬杜宇

■登場人物

サトミ

カナ

スミナ

センパイ

カントク

放課後鳥1

放課後鳥2

新入生

★☆★この作品のメリット★☆★

ソフトボールはルールの都合上、九人で行われますが、設定の工夫により七人(男1、女6で上演可能です。台詞はありませんが、新入生も無対象でも出演でも登場可能です。出演した方が迫力があると思います。

 

◎ユニフォームも何かと制約がありますが、バットとヘルメットだけでOKです。

ユニフォームとボールはソフト部の友達に借りて貰いましょう。

◎ページ数の割に短いですが、動きがあるので、長めだと思います。地区大会にも十分耐えうると思っています。

ソフトボール部の日常&サトミの再生プロジェクトでは台本に書いていないことをふんだんに盛り込みましょう。例えば練習シーンでは一瞬で終わるのではなく、練習シーンなど、「もはや芸術?」と言っても過言ではない領域に到達しましょう音響もガンガン入れた方が良いと思います(演出の領域ですね。失礼しました)。

◎誤解の無いように言いますと、「審査員推薦戯曲」じゃありません。私が思いついて、独断と偏見で一日で書いて、仕上げたものです。審査員の皆さんが絶賛されるのではないかと思うと、痛い目に遭います。審査員の皆さんはどんどん批判してください。そうやって批判されて、演劇は磨かれるものです。そもそも演劇に正解はありませんから、取捨選択が大切です。

ただこれだけは言えます。

「これは間違いなく面白い」と。

「スミナはソフトテニス(ソフトボール)好きすぎるから、もっとこうしたほうがいいんじゃないか」といったアイデアは大歓迎です。そんな緻密に創っていませんし、何よりも創造的作業が楽しいです。

そうやって人は磨かれ、洗練されていくのかなと思います。偉そうに。

◎作品を読んで、「やってみたい!」と思った方、まずはこちらからご連絡ください。

aiba-moritakaアットホームhotmail.co.jp

いくら払えとか、うるさいことは申しません。まずは相談しましょう。

お便りお待ちしています!

 

 

 

 

                            とある公立高校

放課後鳥たちが鳴いている。

放課後鳥1 キーンコーンカーンコーン

放課後鳥2 ホーカゴー、ホーカゴー。

 

                            いつものように高校生たちがくっちゃべって下校している。

センパイ、登場

 

センパイ はい、新入生集合新入生集合。

 

キビキビとカナとスミナがやってくる。

 

センパイ 新入生は、バットとヘルメットの準備。

カナ・スミナ はい!

センパイ そのあと球拾いね。あと時間見つけて応援歌練習。

カナ・スミナ 分かりました!

センパイ よろしくー。

カナ・スミナ 失礼します!

 

カナ、スミナ、目配せをして、退場し、バットとヘルメットを運んでくる。スミナ、間違ってラケットを運んでいる。

              カナ、それに気づき、

カナ スミナ、ラケット!

スミナ おっと、いけねー!

 

                            スミナ、再びバットを持って出てくる。

その時サトミがやってくる。

 

サトミ あっ、カナとスミナ!

カナ・スミナ お疲れー。

サトミ ごめーん、この後お仕事で。

カナ あ、そうなんだー。

サトミ ホントごめん!部活中に。

スミナ いいよいいいよー、サトミちゃんは仕事あるだからしょうがないよー。

カナ 応援してるからねー。

サトミ ありがとうー。休んだら、マジで馬車馬のように働くから!

カナ・スミナ 頑張ってねー。

 

サトミ、駆け出していく。

 

カナ 決まったらしいね、連ドラ。

スミナ それマジ?

カナ サイト書いてた。

スミナ すげー。

カナ (しみじみと)すっかり別の世界になっちゃったねー。

スミナ ねー。

センパイ (声のみ)新入生、ボール!

カナ・スミナ はい!

 

カナ、スミナ、球拾いに精を出す。(言いそびれたが、ソフトボール部の設定)

 

芸能界の日常

 

サトミ、ソフトボールのユニフォーム姿で、ドラマの撮影を行っている。

 

サトミ 私はそんなの嫌っ! 私はお母さんの奴隷じゃないの!毎日毎日言うこと聞いて、ピエロでしょ? 勘弁してよ! もううんざり!

 

                            一同、サトミの演技に見入っている。

 

ソフトボール部の日常

カナ、スミナ、ソフトボールを拭きながら「バチこーい」「ナイスキャッチ」「ナイスボール」などの声を出している。スミナ、真剣に声出しをしているが、それはソフトテニス(ボール)。カナ、やんわりソフトボールと入れ替えている。

 

続いて応援歌練習(※あくまで一例)

 

カナ このバッター撃てるかな?

スミナ 撃てるぅ!

カナ このバッター撃てるかな?

スミナ 撃てるぅ!

カナ このバッター撃てるかな?

スミナ 撃てるぅ!

カナ 撃てるかな?

スミナ イエス

カナ 撃てるかな?

スミナ イエス

カナ このバッター撃てるかな?

スミナ 撃てるぅ!

 

また別の応援歌

 

カナ・スミナ 打てよ打てよ打てよ打てよ打て打てよ打てよ打てよ打てよ打てよホームラン打てよ×2打て打てよ打てよ×2お前が打たなきゃ誰が打つ、かっ飛ばせー、斎藤、斎藤、斎藤! 斎藤!

 

放課後鳥たちが鳴いている

 

放課後鳥2  キーンコーンカーンコーン

放課後鳥2  イチネンゴー、イチネンゴー。

 

カナ はい、新入生集合、新入生集合。

 

サトミ人気の影響か、今年のソフトボール部の新入生はかなり多い様子。

 

スミナ はい、静かに!新入生の皆さんは、バットとヘルメットを運んでもらいます。これは新入生の仕事なのでよく覚えておいてください。

 

新入生、一旦解散する。

その時、サトミがやってくる。

カナ あれ? 

サトミ 多そうだね、新入生。

スミナ 多いよぉ、ソフト部三八人だよ? どうすんの、バットとか、ヘルメットの運搬とか。ベンチ入れないんじゃないかってカントク超困ってるよ

カナ ただでさえ補欠なのに。

スミナ そうそう。

サトミ へえ…

カナ ? どうしたの?

サトミ …実は、ずっと考えてて、芸能界のお仕事辞めることにしたの。

スミナ ええ!?

サトミ このまま続けてても未来無いと思うし、仕事減ってる人、何人も見てきて…

カナ そっかぁ…

サトミ なんかこのまま投げ出すみたいになっちゃうけど、

カナ ううん、そんなことないと思うよ。

サトミ ソフト部、滅茶苦茶頑張る。遅れた分取り戻すために、必死で、死ぬ気で、無茶苦茶頑張るから!

スミナ 応援してるよ!

 

こうして、サトミの再生プロジェクトが切って落とされた。

例えばうさぎ跳びを一〇メートル跳んだら一〇〇メートル、素振り一〇〇回振ったら一〇〇〇回といった具合に、とにかく無茶苦茶努力する。その頑張りは鬼気迫るものがある。

そして、スミナ「サトミすごいなー」と思っているベンチの横を新入生達がサーっと追い抜いていく。

カントクが登場する。

 

カントク 九番ライト、サトミ。

サトミ はい!

 

沸き上がる歓声

 

カントク よく頑張ったな。(と言って背番号を渡す)

サトミ ありがとうございます!

カントク それからスミナ。

スミナ 何でしょうか。

カントク ちょっとこの後いいかな?

スミナ あ、はい…

カントク じゃ解散!

 

皆解散する

 

スミナ あの、お話というのは……?

カントク おお。…薄々感づいてるとは思うが、練習試合ずーっとボールボーイだろ?

スミナ そうですね。

カントク 新入生がなぁ、入ってきちゃったのよ、新入生が。ホントは試合に入れてやりたかったんだけど、どう頑張っても出せなくて…。だから、ホント

申し訳ない!ベンチには入れられないわ。

スミナ ベンチには入れない… …?

カントク うん、もちろん応援するのはいいんだけど、試合最後の大会に出場することは無いってこと。

スミナ ……。

カントク 今までスミナホントよく頑張ってきたよ。ソフトテニス部でさぁ。経験無い中コツコツコツ頑張ってきたな。お疲れさん。

 

スミナ、思わず涙ぐむ。

 

カントク 何だよ、泣くなよ。悔しいだろうけど、この経験は絶対生きてくるって、長い人生。な?泣きたいだろうけど、今は笑え。笑って過ごそう。約束しよう。

 

スミナ、すっかり泣いてしまう。

カントク、スミナをなだめる。

カントク、あることに気づき、

 

カントク おう、サトミお疲れー!

 

サトミ、登場する

カントク どうした?

サトミ 背番号忘れてしまって…

カントク 何だ、そうだったのかー。いやぁ、サトミ、ホントによく頑張ったよ。

サトミ カントクのご指導のお陰です。

カントク いいっていいって、そんな大して指導してないし。

サトミ (スミナと視線が合う)……

スミナ (視線を剃らす)……

カントク いやホント、血の滲む努力でねえ…

サトミ おやすみなさい。

カントク はーい、おやすみー。(スミナに)ゆっくり寝ろよ

 

カントク、退場する。

サトミ、背番号を受け取り、出て行こうとする。

 

スミナ 待ってよ

サトミ え?

スミナ 聞いたの、話

サトミ …ちょっとは…。

スミナ どこまで?

サトミ …ベンチ外れるって…

 

沈黙

 

スミナ 何なの?

サトミ ……?

スミナ 球拾いも、部室の掃除も…

サトミ ……。

スミナ 何もやらなかったくせに。

サトミ ……。

スミナ 

 

その時、超特急のソフトボールが飛んでくる。

 

スミナ 誰!?

カナ (声のみ)あたし!

 

カナ登場

 

スミナ カナ!

サトミ どうしてここに?

カナ 補欠選ばれたから(と言って誇らしげに背番号を示す)!

スミナ そう言えばそうだったね。

カナ スミナ、サトミのこと誤解してない?

スミナ 何が?

カナ 何もやらなかったくせにってさぁ、じゃあ手抜きしてテキトーに練習しとけばいいわけ?

スミナ そうだけど、

カナ ズルいよ

スミナ は?

カナ 何か卑怯みたいな言い方すんの。

スミナ それ違くない?

カナ どうして?

スミナ 別に卑怯じゃないし。一生懸命頑張っただけじゃん。

サトミ 止めようよ。

カナ いや正直悔しいよ、補欠選ばれたの。

スミナ あたしだってそうだよ。

カナ サトミのドラマで新入生増えたせいで、いくら何でも増やしすぎだろって気持ちもある、正直。

スミナ そんなのあたしだってそうだよ、まさに!

サトミ ごめん…

カナ でも全然サトミのせいじゃないでしょ?サトミが死ぬ思いして頑張ってきたからでしょ。全然ズルなんかしなくて、めっちゃ練習やって上手くなってきたからじゃない?違う?

スミナ 分かってるよ!……分かってるけど、……ああっ、チクショー!

カナ 何?

スミナ ジェラっちゃう!

カナ ジェラードアイスみたい。

サトミ (少し笑う)

スミナ あ、笑った!

サトミ (いつもの神妙な面持ちに戻る)

スミナ くやしー!!

 

放課後鳥1 ホーカゴーホーカゴー

放課後鳥2 ゲコーゲコー

 

カナ おっ、もう夜だよ。

サトミ 帰らないと。

 

サトミ、下校仕度を済ませようとする。

 

スミナ ねえ、サトミの応援歌練習しない?

サトミ あたし?

スミナ センパイに空いてたらやっとけって言われてた。せっかくだし、やろうよ。

カナ いいね。

サトミ でも…

スミナ ほら、バット構えて。早く!

 

サトミ、スミナに促され、ネクストバッターサークルにバットを構える。

 

スミナ・カナ (歌う)打てよサトミ、ホームラン打法レフトへライトへホームラン!

かっ飛ばせーサトミ、かっ飛ばせーサトミ、……

 

カナ、スミナの応援歌は続いていく

サトミ、期待に応えるように力強く素振りが続いていく。