劇作家相馬杜宇のOfficialBLOG

32歳、脳出血発症中!劇作家の相馬杜宇がホッピー、コンテンツSEO、病院の不可解さについて語るブログです。

【番外編】『車輪De散歩 在り処 観劇編』

f:id:aiba-yamaguchi:20170531071726j:plain

お待たせしました!

不朽の名作、『在り処』観劇編についてレポートします!

 

本当は諦めかけていた『在り処』が観られることになりました。

。詳しい経緯は『車輪De散歩』で綴っています。

 

aiba-yamaguchi.hatenablog.com

 

『在り処』の公演は4月14日で幕を開けました。
お陰様で好評で、数々の絶賛の嵐、興奮気味のブログが続々とアップされています。
日に日に動員が増え、僅か3人芝居ですが、280人以上のお客様が足を運んでいただいています。
前置きが長くなりましたが、「在り処 観劇編」と題し、その模様をレポートしたいと思います!

 

11時半になりました。本番は14時開演です。
1階から下りると早くもメンバー、マスザワさんが待ってくれています。タブレット端末を操作していて、早くもイケメンです!
マスザワ「おーお帰りー」
早速レンタカーに乗り込みます。ヴィッツです(たぶん)。
メンバーがアシストしてくれていて、助手席に座りました。
階段担ぎ上げてくれると聞き、頑張ってダイエットしましたが、75キロ…。
果たして担ぎ上げられるかどうか、不安は尽きません。ベテラン作業療法士が言います「屈強な人としたら何人?」と。横綱級だったら話は別ですが、清水大将は小太りばかりで、ちょっと心配です。
車中ではサンドウィッチを食べました。サンドウィッチ店でアルバイトをしている母のサンドウィッチです。
頼んだのは卵とカツサンド。

美味い…

まさに染み入るようにくーっと染み込んできました。
どうして空腹のサンドウィッチは神々しく感じるのでしょう   ?
高速に入り ま  した。
入院してから2回目の車窓です。
「階段、大丈夫だろうか?」という思いが常に脳裏をよぎります。
階段を見たところ、全然大したことない。ハードルが高いと言っておいて、実は大丈夫なんじゃないか?とふと思いました。 
安定性の高い脚立の歩行練習を始めようとしたら、ベテラン理学療法士に止められてしまったし、やっぱ本当は駄目なんじゃないか?という気がしてきました。
いつになったら歩けるようになるのか、鬱々とする日々です。
何か役に立たなければという使命感から「リハビリ頑張ってね」とやたら言います。いつ治るとも知れないリハビリに対して、ちょっと無神経すぎないか?という気がしてきました。
高速に出ました。
「お馴染みの光景」と思いきや、全く分かりません。ここはどこで、最寄り駅はどこなのか、皆目見当がつきません。
自分も随分老けたものだなと思います。
禁断の玉手箱を開けて、おじいさんになってしまった浦島太郎は、この物語ってどんな教訓があるんだろう?と思いました。欲望に勝てず、安易に玉手箱を開いてしまった戒め?
久しぶりにわが家に帰ってきて、あまりの寂しさから玉手箱をつい開けてしまった勇み足?
寂しさはきっとあるなと思いました。そう考えると半強制的に故郷を奪われた飯舘村は想像を絶する苦しみがあるのでしょう。最近全然話題に上らない飯舘村
ますます忘れられていくとしみじみ感じます。
見覚えのあるカプセルホテルを通りました。
いつも終電を逃して大将とカプセルホテル泊まったっけ。起きたら大将の声が変だったな。
見覚えがありすぎる下北沢まで通ります。
思えば平日。
「車椅子の皆さんが通りますよー」と宣伝しているようで、何だか恥ずかしいです。
会場である下北沢ギャラリースターダストを通過します
母 これ!?
やたら不便なところだなというニュアンスが、にじみ出ています。
これだ。乗り越えるのはこれだ。立ち向かうのは、まさに「これ」だ。
ピーコックから顔馴染みの方々が来てくれました。マツムラさんと大将。スタッフで手伝ってくれる方々も見えました。
ツムラさんとは、『父と暮らせば』で拝見していて、月並みですが「この人マジでやってるな」と思ったものです。今回は学生役を演じて下さいます。本当は43歳学生を演じるオガサワラさんが演じて下さるのですが、叶わず、残念。
いよいよ階段に差し掛かりました。
屈強な男達が大挙して待機してくれるかと思いきや、二人だけ。
すごく不安になりました。

マスザワさんの長年の知見から、お姫様抱っこで抱えて持ちあげることになりました。大丈夫?
いち、にの、さん!
おお、上がった上がった!
コーヒー店の入り口まで担ぎ上げてくれました。思ったよりスムーズです。
続けて2階、3階まで上がりました

 

 

着いたー!!

f:id:aiba-yamaguchi:20170615065242j:plain

 

みんな息を切らしています。
いやぁ、ホント申し訳ない!ホント痩せる!

ギャラリースターダストは横使いに組んでくれていて、予想以上に本格的でした。平台もあるし、和室もある。
雜黒で完全暗転まで仕込んでくれています。今まで照明がノータッチだったのに、胸が熱くなりました。

開演まで時間があったので、雑談して過ごします。取り立てて何も無いことです。お客さんから差し入れをもらってお菓子を食べたり、食べなかったり。
実はものすごく迷っていました。それは「夕飯はどうするのか」ということです。昼食はサンドウィッチにすると前もって予告していたので、サンドウィッチで妥協するにしても、昼食はしっかり摂りたい。松屋のピビン丼か、はたまた麺処「そると」か…。
関門の階段が思ったよりイケたので、ワガママ言ってもらって、そるとでも良いのではないかと内心思っていました。
ピビン丼も食べたいものの、そるとも捨てがたい……。
迷ってるうちにお手洗いに行きたくなりました。メンバーが一斉にサポートしてくれます。何とか立ち上がりましたが、歩行練習用の脚立が持っていなかったので、明らかに変な格好です。
違うんだ、いつもの自分とは違うんだ!
トイレの前に段差がありました。無理して持ち上げようとするとよろけてしまい、ケンモチさんがほとんど担ぎ上げた状態で乗りかかりました。
「全介助」とはこの事を言うと思います。
何とかかんとか便座に座ります。
「全部脱ぐの?」と一瞬思いましたが、サッと立ち去ってくれました。男の背中は眩しいです。


母「これなら部屋を歩いて移動できそう」
妙に感動してます。
いやいやいや、普段の歩行練習ではこんなじゃなかった!ホントはもっとスムーズでした!信じてーー!!
結局、帰りは同じ道を辿りました。

母がお礼を言うと、

ケンモチ「いい作品を書いてくれたのだから、こんなのお安い御用」

やはり中年の男の背中は眩しいです!

戻ってくるとクロヌスが止まりません。
ベテラン理学療法士に言われて、びっちりメンテナンスしてくれていたのですが、いっこうに収まりそうにありません。
ケンモチさんがやさしくマッサージしてくれました。

 

気持ちいい…。


おかげで気持ちよく開場を迎えられました。
オガサワラさんが早くもジャケットに着替え、お客様をお迎えしてくれます。
ギャラリースターダストは店員が限られているため、MAXで入れても30人程度です。つまりみんな知り合いです。
かつてワークショップをやって、お世話になった先生が事情を知って駆けつけて下さいました。
世間話に花が咲きます。かつての同僚の方が脳梗塞で倒れてしまった話。
先生 ホントに職員会議、スーっと眠るように倒れられたの。
へえそうなんだと思いつつ、私の場合は重みに耐えきれず、無様に倒れてしまったんだったなと思いました。ちっとも会議「眠るように」なんかじゃないです。
先生が母に気づきました
先生 あらお母様ですか?実は○○○が○○○でして……
続々と知り合いに会いました。相変わらず変わっておらずひと安心です。

一段落したと思ったら母に話し掛けました

母 家にあるもの整理しといてよ。
相馬 グローブとバットは欲しいです
母 だから駄目だって。全部更にするから。
相馬 ……。

後述しますが、「だから」という言葉が嫌いです。

「何で分からないの?そんなの分かって当然でしょ?」というニュアンスがぷんぷんします。
前にも言ったはずなのに、何で「だから」使うかなぁ…。
なんだかうやむやの感じで開演です。


いい舞台でした!
手数の多い芝居でしたが、限られた空間を上手に使っています。
何より俳優陣が手堅い。

ツムラさん間合い、テンポなど抜群に上手いと思いました。
大将は緊張のせいか、大滝の汗をかいていましたが、健闘していました。いかにも新劇人が「苦悩しているぞ」とたっぷり演じるものですが、ライトなテイストが僕は好きでした。
ケンモチさん面白い!下手に気負わず、「やっぱおばあちゃんこうだよなあ」という佇まいが自然に存在していました。
自然に存在していることは簡単ですが、実はハードルが高いです。
どうしても演じようとしてしまうんですよね。とても良く分かります。


二十歳の時に書かれた戯曲でしたが、やはり青臭さは残るものの、この台詞はちょっとビックリしました。

老婆、入ってくる。さっきとは打って変わって浮かない様子。
 老婆、座布団に落ちたけん玉を拾い、座る。
     少しの間。

老婆 帰ったんだね。
男  ああ……

     男、紙袋を持って台所へ向かう。
老婆 ……出てく時さ、玄関に靴が三つ並んでて、いや正確にはあの子は脱ぎ散らかしてたんだけど。
男  ……。
老婆 それ見て、何だか懐かしくって……
男  ……。
老婆 ちゃんと並んでるのは父さんと母さんで、脱ぎ散らかしてるのはお前ね……三つ
が二つになって、二つが一つになって……長いんだよ、廊下が……

 

どんなつもりでこんな台詞書いたんだろう?と思いました。
昨日、劇作家の篠原久美子さんがお見舞いに来てくれて、この話題になりましたが、


篠原 「長いんだよ、廊下が」が実にいいんだよ!!


と力説していました。私もそう思います。
丸尾聡さんは初日を観に行って、「台本的に3つダメだしがある」と言っていましたが、いったいどんなダメだしなんだろうと気になりました。
ちなみに『在り処』は戯曲全文公開してます。良かったらご覧ください。

aiba-yamaguchi.hatenablog.com


あ、今さらながら、『在り処』をご存知ない方のためにあらすじです


誰もいないと空き巣に入ってみたら、コタツの中から老婆が…。
万事休すのその瞬間「おお、お帰り」の挨拶ひとつ。
泥棒を息子と勘違いしている老婆と、息子に間違われた泥棒の奇妙な疑似親子のやりとりがはじまる。通帳を探し出そうと必死になる泥棒。
久しぶりに帰ってきた息子として男をもてなす老婆。
そこへ、福祉に燃えるボランティア大学生は尋ねてくるし、息子を名乗る電話はかかってくるし…。果たして、通帳は見つかるのか?そして、二人は…?

 

 

そして終演。
予告通り作家を紹介していただき、暖かな拍手をいただきました。
終演後はお客様の差し入れをいただき、思い出話に花が咲きました。
ツムラさんはこれでクランクアップ。実に晴れ晴れとした表情です。
オガサワラさんが帰国子女の設定だと聞き、俄然気になりました。観たかった…。
ちょっとよさげなカレーパンを勧められましたが、悩んだ挙げ句、断ることにしました。

麺処そるとがあるし……

実に寛いでいたら、マツムラさんが「みんなで記念写真撮りません?」と提案がありました。さすがクランクアップは違います。
で、撮った写真はこちらです。

f:id:aiba-yamaguchi:20170615070432j:plain


皆さんよく写ってますね~。
笑うとビミョーにマヒが見えますが、見なかったことにします(笑)


さ、そろそろラーメンか…

 

と思ったところに、車椅子移動し始めました。
あれ?
車椅子ごと階段で移動できる術を編み出したようです。

ありがとう。それより、何かあれ…?
無事車に着くとマスザワさんがレンタカーつけてくれましたスタンバイ万端です。


「あのぉ、松屋は…?」
ここまで出かかりましたが、さすがに言えませんでした。
みんなで送り迎えしてくれます。
ありがと~!!
改めて幸せな座組だったと思いました。
またここで、何としてもこの座組で帰ってきます!

さて、一路車の中です。
神奈川リハビリテーション病院までの車内は実はそれどころではありませんでした。すき家で妥協するか?はたまたコンビニおにぎりでOKと考えるか?
一手二手三手まで考えを巡らしました。
予定時刻通りに神奈川リハビリテーション病院に到着。着いてしまった…。
マスザワ「面白い新作書いてね!」
固い握手を交わします。
もちろん交わしたのですが、すごく気になっていたことがありました。マスザワさんが立ち去ると、母に「お昼は…?」と尋ねます。


母「ここで食べるしかない」
「この道『しか』ない」とまるでどこかの政党チラシのようです。二者択一ではなく、選択の余地は無いと言わんばかりにおにぎりを差し出します。

1階神奈川リハビリテーション病院のロビーでおにぎりを食べました。
確かに美味しいですが、ぽっかり穴が開いたような気持ちでした。何よりお腹が満たされません。
8階から上がると、夕飯が運ばれてきました。
確か夕飯は抜いた気がする。何より飯不味いし。
そう思って断ることにしました。


事務員風男性看護師 そうなんだ。いいね、時間通りで(なぜかフッと笑う)


なぜ笑った? 笑い事じゃないよ!
こうして『在り処 観劇編』が幕を閉じました。

明日はいよいよ千秋楽。終演後にこっそりエゴサーチして、

ひとりホクホク顔で反応を楽しもうと思っています。

辺りはすっかり暗くなりました。

 

それでは、おやすみなさーい!

【END】