劇作家相馬杜宇のOfficialBLOG

32歳、脳出血発症中!劇作家の相馬杜宇がホッピー、コンテンツSEO、病院の不可解さについて語るブログです。

【特別連載】リハビリ病院の思い出を振り返ります。②

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朝6時 採血

 

朝6時になりました。不思議とよく眠れましたが、ものすごく寒いです。あまりに寒すぎてブルブル震えてました。
この寒さは網走刑務所の監獄を思わせます。
網走刑務所は重犯罪者、つまりは法を犯した者を収容するところです。
「ほう(法)そうか」とダジャレを言いたくなりますが、何も報われません。
看護師が呼ばれました。採血のお時間です。
私は血管が出づらく、百戦錬磨の看護師達が大いに苦戦していました。
血管を見るなり、スキンヘッドの男性看護師達は、
男性看護師 こりゃダメだ。仕切り直し!

と呆気なく帰されました。おしっこに立ち寄ると、おまるのトレーみたいなとこを座らされ、ここに出て用を足せと言われます。軽い羞恥プレーです。ワイルドピッチしないよう細心の注意を払い、ターゲットを定めます。

成功。

男性看護師が終わったと告げると、
男性看護師 いやぁ~、結構出たねぇ。
相当我慢していたようです。
尿検査じゃないかと少し不安になりました。
続いて、男性看護師が呼ばれます。
男性看護師はもうドライヤーをスタンバイしていて、準備万端です。
内心「よく考えたな」と思いました。


しかし、肝心の血管が見つかりません。これまで右腕に刺してもらったことがあるのは一人だけです。あとは全て手の甲。
男性看護師も「致し方ない」という感じで、静かに右腕を手に取りました。
「いや右腕もねえし」と露骨に態度を取りました。


男性看護師「すっげえ痛いよ!」


一瞬、大丈夫かなと思いました。しかしワイルドな見掛けとは裏腹に、針の刺し方は案外ソフトです。いわばマイルド。


1回目、失敗します。すっげー悔しそうにしてます。


何とか2回目は成功しますが、あまりの動揺ぶりに、命の次に大切な血液を少しこぼしました。
男性看護師「ああっ!ムカつくわー!!」
大丈夫、大丈夫、間違いは誰でもありますから。
とりあえず返されました。

5分10分経って「そろそろいいかな」と思い、止血テープをはがすことにしました。


しかし、気づいてしまったのです。


左手に麻痺があることを。


何を意味するのかと言うと、「剥がせない」に尽きます。
何とかかんとか口でテープを剥がそうと試みます。

剥がれない・・・

頑張りすぎてテープ部分が剥がれてしまいました。 

 


これじゃテープの意味を成さない・・・

 

 

ワンちゃんが嬉々として骨を噛みつく番犬のように、何度も何度もテープを剥がそうとしました。無意識のうちに「芝居に使えるな」と思う自分がいました。
看護師さんに頼んだらペペっと剥がして一発なのに、何だか負けを認めた感じで、情けないやら、切ないやらで、色んなものをごちゃごちゃになっていました。
もちろん放置することも出来ますが、久慈弁で言うところの「いづい」ため、見て見ぬふりも出来ません。


私が病気さえならなければ…。


本当に何度も何度も思ったのを覚えています。

 

午前7時半 朝食


止血テープは何とか剥がれました!肩の荷が下りたような気持ちです。
朝食に呼ばれて向かうことにしました。

 

窓辺にはうっすら白みがかっています。

 

雪、降ったんだ……。

 

今日のメニューは瓶牛乳と味噌汁。味噌汁は篤くて、まずまずという印象を持ちました。
汚い話で恐縮ですが、左手の麻痺があり、牛乳を飲もうとするとこぼしてしまうのですが、何とかこぼさずに済むと、「おっ今日は調子いいな」と一種のバロメーターになっています。

 

七沢の自然について

 

「山と自然しかない」と謳われた七沢の自然は、残酷なほど絶景です。牧場、農業従事者が眼下に眺めることが出来ます。「絞りたてのミルクが出来たわよ~」という声が聞こえてきそうです。畑を持ってる方は不動産経営に成功し、悠々自適に暮らされてるのでしょうか?
伝統芸能である七沢太鼓を地域の子供たちに指導してるんじゃないでしょうか(※妄想です)?

恐くて近寄りがたいのですが、ただただ美しい自然が打ちのめしてくれます。これがボディブローのようにツラい。
ホントは冬の野山を駆け巡りたい。でも出来ない。
「敗北」という言葉が思い浮かびました。

 

●●時 理学療法

しれっと書きましたが時間忘れました。
ともあれリハビリのお時間です。初めてのリハビリ・・・。町の長老のように「見えるぞ、見えるぞ…」と心から願っていました。

お名前も率直に言うなれば、至極ありふれたお名前だし…。
看護師さんが緊張しているのを見て、「『山口(※本名)さーん』と呼んだら、『はーい』と答えれば大丈夫」

 


小学1年生?

 


あまりにも子供じみてます。看護師さんは昔、小児科にいらしたんでしょうか?

ベテラン理学療法士 山口さん・・・?
相馬 は、はい!
ベテラン理学療法士 どうもー、●●●●でぇすっ!

 

 


パンクロッカーみたいな話し方をされます。

ベテランはベテランですが、圧倒的に若いです。

そして、たぶん検討違いがあると思うのですが、どこかトータス松本に似ています。

 

髭の生えた仙人じゃなくて良かった・・・


さっそくベッドに移ることになりました。
緊張からか、ブルブル震えています。
ベテラン理学療法士 おー、頑固だネイッ!
左手の状態をチェックします。色気を出そうと、左手が曲がることをアピール。
力任せにギュッと踏ん張りました。
ベテラン理学療法士は全てを見透かしたように、
ベテラン理学療法士 別に頑張らなくていいよ。
バレたと思いました。ベテラン理学療法士には格言があって、
「色気出すと絶対に良くならない」というものです。まさに言い得て妙。どこかのベストセラーで読んだような『頑張らない生き方』を胸のバイブルとして刻みました。


ベテラン理学療法士 マヒは重いけど、頑張りマショウッ!!

 

え?そんな重いの?フツーに左足踏ん張れるけど。
今は重いと認識していますが、聞かなかったフリをしていました。

 

作業療法

 

当たり前のように時間を忘れました。中堅作業療法士の時間です。初めてのリハビリはただ寝てるだけでしたので、大したことないと油断してました。

 

 

 

が、

 

 

 

衝撃的な事件が起きました。
作業療法室に入るなり、中堅作業療法士はこう言いました。

 

 

 

 

 

中堅作業療法士 何で七沢に来たか分かってる?

 

 

 

 

 

 

 

 

「人を殺めまして…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クスリ、やっちまいました…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「シャブやめられなくて…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「強盗を2回ほど…」

 

 

 

即座に刑務所か少年院か少年鑑別所かを思い浮かべました。

もしくは自立支援施設か……


おそるおそる「リハビリ、ですか…?」と尋ねます。
中堅作業療法士は「分かってんじゃねえか」という感じで「まあそうね」と応じます。

いつの間にかタメ口です。「日本語は分かるんだ」と言わんばかりです。


次のステップに移りました。中堅作業療法士は目を瞑れと指示。言われた通りにすると、
中堅作業療法士「これはどの指?」
相馬「(分からない)……」
中堅作業療法士「これは?」
相馬「(うーん、分からない)……」
中堅作業療法士「これは?」
相馬「(全然分からん)……」
「これは?」「分からん」を10回くらい繰り返しました。
そして、中堅作業療法士と静かに語りかけました
中堅作業療法士 ショックだろうけど、これが現実です。まず、しっかり見ることが大事です

いきなり余命宣告が告げられました。でも、さっぱり感覚がない以上は「そんなん言われても……」と思ってしまいました。
続いて中堅作業療法士は怒濤の勢いで喋り続けます。

あとから気づいたのですが異様に距離が近いです。理解を確めたいのか、口癖のように「分から(るorない)……?」を繰り返します。

続いて、外泊訓練用の部屋を案内しました。中には一人で用を足せるよう、トイレのトレーニングルームもついています。
いったいどうやってトレーニングするんだと思いましたが、ついに一生使われることはありませんでした。

 

だらだら話していると時間が来てしまいました。

次回は車椅子を選ぶと予告し、リハビリは終了です。
「何で七沢に来たのか~(通称七沢ショック)」が抜けきれませんが、それでもリハビリは続いていきます。
これからどんな困難が待ち受けるのか!?
乞うご期待!